JAPAN HICKORY GOLFING SOCIETYの一員でもある筆者が、ヒッコリーゴルフに関する書き物をするにあたり来歴共々触れておかねばならない事があります。というのも、ヒッコリーシャフトのクラブに興味を持ったのが中学生時代の2001~2002年、工作用材木で造る真似事をしたのも同じ頃でした。最初にクラブを入手したのが2004年(1927~29年頃のスポルディング製5番アイアン)で、同時期から『タモ』などのヒッコリー代用材のシャフトでウッドやアイアンの修理製作を始めました。
2005~06年時には当時盛んになりつつあった海外ヒッコリーゴルフの情勢を各団体のウェブサイトを見て情報を得はじめ、素材を求め銘木店でシャフト用のヒッコリー材を入手してウッドの製作をしたのが2008年頃で、コレクターさんとの知遇からセットを得て本格的にプレーをしたのが2009年春でした。
そして、2014年5月に軽井沢で開催されたエッセイストの阿川佐和子さんが主催するヒッコリーゴルフイベント『阿川杯(第2回)』に参加してから、色々なヒッコリーゴルフイベントに参加するようになり、そのご縁で現在はヒッコリーゴルフ用具に関わる仕事をするようになりました。
これだけ見ればソコソコの古株に成るでしょうが、ヒッコリークラブセットで正規のコースをラウンドしたのは上記の通りで(ショートコースでは“タモ材シャフトも含めて”2006~07年だったと思います)、プレーの回数も近年まで年に数回でしたが、その代わりにゴルフ史や古いクラブについて調べており、それは現在も続いています。
ヒッコリーゴルフというのは自分で枷を嵌めて難しいゴルフをしている様に見える事もあり、事実『通常の』ゴルフと比べればその通りです。しかし、それを行って居るのは、通ぶりたい訳では無く、ただ大好きなのです。一撫ですれば165yd飛ぶ現代のグラファイトシャフト+中空ヘッドの7番アイアンよりも、同じ距離を100年ほど前のトム・スチュアートのミッドアイアンで打つ方が魅力的であり、チタンのドライバーでの250~260ydよりも自作のドライビングブラッシーで如何に距離をロスせず常時220yd平均を超えるティショットを打てるか、スタンスに於けるボールの位置を思案する悩み、グリーン周りで如何にランナップショットが決めるかという思案、またクラブをレストアし、自分に合うように調整し掛替えのないモノとする事などに愉しさを感じているのです。そこに至るには『当時の人はどんな感じでやっていたのだろう』という歴史から入った身である事だけでなく、シャフトが木という生き物から成っている為か、何とも言えない感触、筆者の憧れのプレーヤーでヒッコリー時代の最高のスタイリストの一人だったプロゴルファー、マクドナルド・スミスのブランドの日本版広告流に云えば、『打った刹那の心地良さ』が、ある種の風雅に富んでいる事も関係していると思います。また、このジャンルでは『良いショットは喜び、悪いショットは笑い(思い出話にし)ましょう』という向きがあるので、通常のゴルフよりも精神的許容が大きく感じるのも好きな理由のひとつです。
そういった中で、筆者は権威者ぶりたい訳ではないですが、これまでの経験と、知っている情報が皆様のお役に立つかも知れませんから『面白いヤツがこんなこと言ってるぞ』としてヒッコリーゴルフのご参考にして頂けたら幸いです。
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